「ふふっ…」

幸大と咲子は一組の布団に寝ていた。

「本当にこんなので良いのか?」

幸大が言う。

「はい。

腕枕で許します。」

咲子は幸大の腕に頭を乗せながら言う。

「咲子…その…」

「何ですか?」

「いや…何でもない。」


「何ですか?

言わないと指を順番に逆に曲げますよ?」


「サラッと怖いこと言うな!!」

幸大が言う。

「じゃあ言ってください。」

咲子が言う。


「…。

いや…やっぱり、いいや。」

「何故ですか?」

「その…記憶が全部戻ってから…言いたいことだから。」

幸大が言う。

「そうですか。」

「ああ…」

「では…言わなかったので刑を執行します。」

咲子が幸大の肘を曲げさせて指を掴む。

「マジで逆に曲げる気か!?」


はむっ。

咲子が幸大の人差し指を口に入れた。

「え?」

「んっ…

私がそんなことすると思いますか?」

咲子が幸大の人差し指から口を離して言う。

「いや…でも…」

「以前にクーニャさんが幸大さんの指を舐めてたのを思い出したので…

とにかく…今日はこのまま寝ます。

はむっ。」

咲子がまた幸大の人差し指を口に入れた。


「…。

はいはい…

おやすみ、咲子…」


「おやふみなはい…」

咲子が幸大の人差し指を口に入れたまま眼を閉じた。