「誰一人、ないがしろにするわけが無いだろ。

俺は…何人かの記憶は無いけど解る。

俺は咲子のことも…姫野も、クーニャも、優衣も、マリアも、華乃も、朱鳥も、アゲハも…


全員、大好きだ!!

だから、ないがしろになんかできねぇよ…。」



「ふふっ。


幸大さんはチキンでヘタレな甲斐性なしですがごくまれにカッコいいです。」

「ごくまれに…か。」



ぎゅっ。

咲子が幸大に抱きつく。


「幸大さんは今、幸せですか?」

「あ、ああ…。」

「私も…幸大さんが他の皆さんにも手を出していると知っていても幸大さんを抱きしめて…そして幸大さんが抱きしめてくれているこの瞬間は幸せだと感じています。


だから、きっと私も幸大さんがどんなに最低でも、何人もの女性に手を出していても…好きなんです。


きっと他の皆さんも。」


幸大が咲子を無意識に抱き締めていた。


「幸大さんが私たち全員を好きで…私たち全員が幸大さんを好きで…


そして、幸せだと感じることができる。



恋人でも、夫婦でも、親子でも…

最低限、それだけあれば十分だと思いますよ?」


「…そうだな。


さて…寝るか。」

幸大が言う。

「では…電気を消しますね。」


部屋が真っ暗になる。


「ところで…本当に俺たちは一つの布団に2人で寝てたのか?」

幸大が言う。


「…さぁ?」

咲子が少し笑いながら言う。


「嘘つきやがったな?


まぁ…良いか。」

幸大は咲子を抱きしめて眠りについた。