「私のことは!?」

姫野が言う。

「榊さんは一年生の頃から学校でも有名だったから…」

「他には?

私が吸血鬼だって知った部分の記憶は?」

姫野が言う。


「え!?

榊さんって吸血鬼だったんですか!?」

幸大が驚く。


「幸大君…私も吸血鬼なんだけど…」

クーニャが言う。

「ええっ!?」


「私と華乃とアゲハ以外は吸血鬼よ。」

朱鳥が言う。


「マジか…」

幸大が言う。

「私たちが血を吸ったから幸大さんは記憶を無くしたんです。」

咲子が言う。


「そうなんですか…」


『幸大…』


「ん?

ヴァンか?

どうした?」

幸大が体内に流れる血液からヴァンの声を確認する。


『皆にもこの声は聴こえているか?』

「大丈夫よ。

それで…何かわかったの?」

姫野が言う。


『今、イギリスの大英図書館にいるのだが…

まずは、そなたたちを期待させぬように言うが、治す方法は見つかっておらん。


過去にも吸血障害で記憶喪失になった者が居たがその者は記憶が戻らずに死んだ。


が、死んだ理由は吸血鬼がその後に吸血行為を怠ったために起きた失血死。

つまり明確なことは解ってはいないが、私の昔の知り合いに出会った。


吸血鬼であり、医師であり、吸血鬼の研究家だ。

その者と今から治す方法を探る。

クーニャ、この旨をダリシスにも伝えてくれ。

以上だ。』


ヴァンの気配が幸大の血液から消えた。