「それはどう答えりゃ良いんだ?」

幸大が華乃を見る。

「…。」

「お前が死んだら幸せになれないと言えば…何か変わるのか?


逆に、お前が死んでも俺は幸せになれる、そう言えばお前は今、笑えるのか?


ほらよ。」


幸大は華乃にイルカの浮き輪を投げる。

「む…。

ありがとう。」


「俺は今が幸せならそれで良い。

だから、今、笑ってろ。」

「ふっ…。

君はお気楽な生き方が実に似合っている。


では…君もどうだい?」

イルカの後ろを華乃がポンと叩く。


「じゃあ、遠慮なく。」

幸大はイルカに跨がると華乃に抱きついた。


「な!?

乗れとは行ったが抱きつけとは…」

「落ちたら困るからな。」


「えいっ!」

優衣が幸大の後ろに乗り抱きついた。


「うわっ!?

優衣…危ないって…うぉっ!?」


ザボン!

3人が海に落ちた。

「ぷはっ!」

華乃が顔を出す。

「ったく…優衣。」

幸大が優衣を見る。

「む〜。

だって、華乃ちゃんとばっかイチャイチャしてるんだもん…」


「はいはい…優衣にも構ってやるから。」


「待ちたまえ。

君は私を置いていくのか?」

華乃が幸大の手を掴んだ。


「いや…その…


はぁ…

頼むからもっと仲良くしろっての。」


こうして夏の日が過ぎていった。