「ほんっと久し振りだな。最後に会ったのは確か……三年前の“大宴会”、だったか。お前んとこの地区長さまに、京極の奴もいたよなあ」
あれは中々面白かった、と、恍惚とした表情で腕組みする建布都。
「それ、正しくは“定例報告会”ですね。もう少し前だった気がしますが」
「あー、だったら千年前だったか?」
「失礼な。その頃私は“産まれて”すらいません」
「わりぃわりぃ。どうも時間の感覚が、な」
カラカラと声を上げて笑う男とは対照的に、ほんの僅かだが舞白は眉を顰めた。
彼の言葉に気に入らない部分でもあったのか、はたまた死神らしく“時間”という単語に反応したのか。
知るのは少女その人のみ。
「貴方にとっては三年も千年も同じようなものですか」
彼女と付き合いの浅い者ならば、たとえ魔物であろうがロボットであろうが、この女の些細な表情の変化に違和感を覚える事すらないだろう。
けれども建布都という男は、そうではなかった。
誰よりも因幡舞白を知っている、なんて言える程親しい訳ではなかったが。
しかし少なくとも、彼女の瞳が一瞬揺れたのを見逃したりはしなかった。
「まあな。お前もいずれ分かるさ」
舞白が顔を上げれば、穏やかな微笑みがこちらを向いていた。
まるで歳の離れた妹を見るかのように。
「――ええ」
だがそれはどこか悲しげで、どこか切なげに思えた。