燕は知っている。
天神学園の教師は一人一人がスペシャリスト。
普段如何に傍若無人で職務怠慢、滅茶苦茶な彼らでも、これまで通すべき筋はきっちり通し、守るべき誇りは己の手でしっかり守ってきたのだ。
だからこそ天神学園教師陣は、生徒達の師であり壁であり宿敵であり続けているのだろう。
対する雀はどうだ。
彼女の祖母は天才と称される武人だった。
その影響で幼い頃から数多くの武術や舞を嗜んできた彼女は、恐らく“普通の人間”相手に負ける事はない。
が、生憎と今回の対戦相手は揃いも揃って“普通の人間”などではない。
四人の教諭のうち誰と当たったとしても、きっと苦しい闘いになるだろう。
魔剣“昧朱雀”を抜けば、或いは勝利を手に出来るかもしれないが、それこそあれは諸刃の剣だ。
雀はほんの数秒だけ思案していたようだが、すぐに満面の笑みを浮かべてその場に座った。
紅い紐で括られた茶褐色の長い髪が、彼女の動きを追いかけるかのように、揺れた。
「私ごときがあの龍娘先生達とお手合せ出来るなんて、夢みたいだ。ただそれだけだよ」

