「田中君チョコ貰うだけ貰っときながら、自分はお祝いの一つもしてあげない訳? 何それあっっっり得ない」
「ち、違いますようっ」
まくし立てる千歳に怯えつつ、弱々しい声で言う。
「お祝いはしたんです、“おめでとう”も言ったんです。でも、でも……プレゼントに何をあげたら良いかはどうしても決められなくて……」
どんどん下がっていく視線、小さくなっていく声。
最後は殆ど聞き取れなかった。
つまり、こういう事らしい。
優柔不断な啓太少年はアリスカの誕生日プレゼントを当日になっても選べず、仕方がないのでホワイトデーのお返しと誕生日プレゼントを兼ねる事にした。
しかし数ヶ月掛けて決められないものを一ヶ月で決められる筈もなく、二つを兼ねた事が更なるプレッシャーにもなって、ホワイトデーが目前に迫った今も尚、プレゼントを何にすべきか決まっていないのだ。
なんとも情けない話である。
「……自業自得」
「自縄自縛!」
呆れる双子。
そこへ蜂蜜レモンティーの注がれたカップが三つ、浦沢の手で運ばれて来た。
手付かずのまま冷たくなったレモンティーを、マスターは淹れたてのそれと取り替えてくれた。

