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かつて生徒会長と呼ばれた男は今まさに天神学園高等部の校門を潜ろうとしていた。
その姿を淡い碧の瞳で映す。
「……ありがとう、ございました」
深々と腰を折って礼をしたまま、金髪の少年は小さく呟いた。
声は乾いた土に反射して消えていく。
届く筈はなかった。
けれども男はこちらを振り返る事なく左手を掲げて、ひらひらと振ってみせた。
「白神の事、ちゃんと支えてやれよ?」
此方もまた、聞こえる筈がない。
眩しそうに目を細めて微笑みながら、男は一人、燃える橙の中へ溶けて行った。
【終】
卒業式サイドストーリー
アルフレド編