咲き誇る桜。
今日の門出を惜しむように、巣立つ子の背をそっと押すように。
花片が一枚、校庭に佇む少年の頭へと舞い降りた。
その髪はまるで月光。
雲に隠された満月の光にも似てぼんやりと、鈍い黄金色を放っている。
黄昏時の柔らかなオレンジが濡らすくすんだ金髪は、荘厳ささえ感じさせた。
けれど所詮月は月である。
太陽なしには輝く事が出来ないし、太陽そのものになる事も叶わない。
その太陽が今日、卒業の時を迎えた。
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