ブーッブーッ


「え…」

滅多にならないあたしの携帯が…

「どうした?」

鳴ってる……。

ブーッブーッ

しかもメールじゃない。

電話?

パーカーのポケットに手を突っ込み、携帯を取り出した。

「……」

まぁ…何となく予想はしてたよ。

――――――――

  坂下 禅

――――――――


「禅…」

「え、今禅って言った?」

突然肩を捕まれ驚いた。

「あんた……」

まだいたの…。

「なぁ禅って」

この反応…やっぱり知り合いなんだ。

あたしは震える携帯をそのままポケットに入れた。

今は出れない。