「美月!!」
え・・・?
この声は恭ちゃん・・・?
私の視界は先輩でふさがれていた。
恭ちゃんなの?
だったら助けて・・・
「あ、あの先輩!いい加減離してください!」
もう完璧キレた。
ああ、イライラする!
ってイライラしてる場合じゃない!
急いでさっき声がしたほうを見る。
でも、誰もいなかった。
「ゴメンゴメン!
ちょっとヘコんだフリしただけなのに
マヂで心配してたから可愛いなと思って!
って、え? どうしたの?」
自分でもよくわかんないけど、涙があふれていた。
私は何も言わずその場を立ち去った。
あの声はやっぱり恭ちゃんだった。
帰っているとき、泣いてる恭ちゃんに会った。
「恭ちゃん! おかえりなさい!」
私は笑顔で言った。
恭ちゃんは私が泣いてる時は
泣いてることにはいっさい触れず、
いつも笑顔でいてくれた。
だから今私も・・・
と言っても、私も泣いてるんだけど・・・
でも、恭ちゃんは「悪い。」とだけ言って
スタスタと歩いていってしまった。
追いかけちゃいけないと感じ、私はただただ
恭ちゃんの背中を見つめていた。
なんだか頼りない背中だった。

