指定された席に座って鞄を 横にかけようとしたとき、 前の席の子が振り返った。 『ね、俺のこと覚えてる??』 …え?? いきなり誰だろう、と思い よく見てみる ―――あ!さっきの人だ 「ぇと、さっきはありがとうございました。」 『それは、どういたしまして。でも、そうじゃなくてさ。 俺 遠野尚輝 なんだけど、 本当に覚えてないのか??』 「え…??」 …遠野 尚輝?? ……とおの なおき ………トオノ ナオキ 頭の中で閉じられていた 扉が開いた感じがした。