「うしっ手繋ぐか!」
と、要求されてないことまで笑顔で始める迅にぃに照れながらも、私たちは見事一位でゴールした。
『えっと…菅村秘美ちゃんはなにを引いたのかな?』
『好きな先生だったよ』
『あれ…もしかして、去年実習生だった山下先生?』
『お~覚えててくれて嬉しいよ』
にこにことした笑顔は崩れず、迅にぃが私の代わりに喋る。
──手は繋いだまま。
「…迅にぃ……」
マイクに拾われないくらいの小さな声で、迅にぃに訴えかける。
『迅にぃ…?……っ!もしかして秘美ちゃん、好きな先生って…桃札?』
…放送委員であるこの生徒は、どうやら地獄耳だったらしい。
私の声が届いちゃったー!
『桃札?たしかにピンクの紙だったよな、ひぃ?』
ひぃ、と迅にぃが呼んだことで、去年迅にぃのファンだった生徒から悲鳴が上がった。
『じゃあまさか、秘美ちゃんの彼氏…』
『まさかっ!ひぃは妹みたいなものだよ』
繋いでいた手が離され、ほっと息を吐くと頭を撫でられ、そのまま抱き締められた。
「ちょっと、迅にぃっ!」
「ははっひぃちゃん可愛い~」
「美紀ちゃんが見てるからぁ!」
迅にぃの思考がまったくわからずに、取り敢えずぐいぐい押してみるけどびくともしない。

