『プログラム十二、借り物競争出場の人は入場門に集まってください。繰り返します…』
体育委員であろう人が生徒席の後ろから声を張っていた。
「よしっ、苺いこー!」
「うん!今年は桃札引いてやるーっ!」
「こっから呼ぶから応えてやぁ!」
「一位取ってこいよーっ」
と、二人の声援を背に入場門に向かった。
向かってる途中、なにか視線を感じた気がして、辺りを見渡したけど特に何もなかった。
その場に立ち止まり首を傾げていると、苺に急かされ慌てて駆け寄った。
「もー、どしたの?」
「ううん、なんか視線感じて」
「…視線?誰か秘美のこと狙ってるのかな。」
「ちょ、苺?そんな人いないし、たぶん気のせいだよ」
にやにやする苺にべーっと悪態をつきながら、他の生徒たちと一緒に列に並んだ。
『…いきまーす。位置について、よーい…どん!』
パァン、と音が響き、苺を含む六人がスタートを切った。
「まぁいー、がんばれーっ!」
出番待ちのため、座りながらも精一杯声を張って応援する。
十メートル先にある長机の上の封筒を取り、中身を確認しただろう苺がいきなり振り向いた。
はてなを浮かべながら首を傾げて苺を見る。
取った封筒の中身を持った手を上げながら、ぶんぶん振っていた。
…………え、え?桃札!?
そう、苺が手に持っていたのはピンク色の紙、桃札だった。

