「南…」
私は達也に呼ばれて達也の方を向いた。
それと同時に達也の唇が私の唇と重なった。
「お前は拒否ってるけどさ俺は拒否らねーよ。」
「達也…ごめんなさい。」
そしていつものように我が家に行き二人で布団に入って寝た。
そんなことを思い出させたのが今日だった。
「達也。なに考えてるの?」
「別に。」
私はある意味達也について誇れることが一つある。
達也の体調、考えていることを少し読み取れる。
今日体調悪いなとか考えごとしてるなとか今日は疲れてるなとか。
達也もビックリするくらいに言い当てる。
でも今日は違った。考えている。
でも冷たい。
「達也なに考えてるの?」
「お前のこと。」
「はあ?良いこと?悪いこと?」
「悪いこと。」
「なにそれ。教えてよ。」
「いつかわかる。」
そう言っていつも私がする相手に背をむけるを達也がしている。
こんなに寂しくなるんだね。
「達也…」
「ごめん。南。俺お前のこと拒否ってるわ。」
「え?」
「他の男とキスしたとかさ…」
「なにそれ。」
ごめん。
ごめん。
ごめんね。達也。
私がいけないんだね。
私が自己満足なことをしたから。
「ごめん。達也。」
私はタオルで唇を拭いた。
強く拭いた。
唇がカサカサになって血がでるまで拭いた。
痛いよ。
達也の心も痛かったのかな?
「辞めろよ。拒否ってたのは昨日まで今は大丈夫。」
「いやっ。」
触れられた手が震える。
怖い。
達也が離れて行くのが怖い。
一人になるのが怖いよ。
「怖い?なら帰ろうか?」
止めてよ。
一人にしないでよ。
行かないでよ。
「嫌だ…帰らないで…」
震える手で達也の腕を掴む。
「震えてるじゃん。」
そう言って手を離させようとする。
「大丈夫だから…お願いだから一人にしないで…」
私は達也に抱き着いた。
「わかったよ。」
達也のいつもの優しい声だ。
落ち着く。
私は達也の手を頬に当てて達也をみた。
「達也。好きだよ。」
「うん。」
達也はけして好きとは言ってくれない。
期待させないようにらしい。
でもね今までに2回だけ本気で好きって言ってくれた。

