その日。
私は達也があまり会ってくれないと言うのを理由に他の男性と会っていた。
歳は22歳。
出会い系サイトで知り合った。
初めはすごく優しくて頼れるお兄ちゃんみたいな人だった。
だからかな。
あまり警戒とかはしなかった。
急に肩を抱き寄せられて、でも警戒しない自分がいた。
スポーツをしているらしい彼のことだからスキンシップだろうとか勝手に解釈していた。
私が離れようとしても普通に抱き寄せられて…そこでやばいかなとか思えた。

でも人間ってすごいよね。
頭の回転が。
もしかしたら、これをしたら達也が来てくれるかも。
そんなことが頭を過ぎった。
バカバカしいとかわかってた。

そして彼から離れた瞬間にキスされた。

キスをして舌を絡めて。

胸を触られて舐められて。

首を舐めさせられて。

フェラをさせられて。

最後の方は半ば強引にことを進められた。

「私苦手なんで出来ないです。」
拒否った。
拒んだ。
でも…
「大丈夫だから」

彼は私がした動きではなく、自分が動かした人形でイッたのだ。

終わってすぐに私は帰宅した。
そして達也に電話をした。

「達也…」

「どうした?」

やっぱり安心する。

「なんでもない。」
と電話をきった。

メールでちゃんと私のしたことを話した。

そしたら達也が
”お前とはもう会わない”
だって。

私が悪いの?
今まで話を聞いてくれなかった達也が悪いじゃん。
彼女いるのに私とセックスする達也が悪いじゃん。
なんで私はダメなの?
達也はよくて私はダメなの?
私達也の彼女じゃないじゃん。

「達也。なんでわかってくれないの。」
私は達也に泣きながら電話をした。
別になにを言いたいわけでもなく伝えたいわけでもない。
だけどなぜか…電話をしたかった。
「わかんねーよ。」
私達はこの言葉をずっと繰り返していた。

そして二人で外で話をした。

「ごめんね。達也。実は私ずっと達也とのキスを拭いてたの。河瀬先輩とキスした後なんか嫌だよ。汚いよ。」
私には癖があった。
達也とキスした後に袖で拭く癖。
見られないようにこっそりと後ろを向いてする癖。
汚いと達也を認識しているその癖。