「なあ、南〜」
「どうした?」

いつものように泊まりに来ている達也。
いつものように隣に寝転んでいて、こちらをむいていた。

「彼女が妊娠してるかも〜」
「え。どゆこと?」
「生理不順でさあ、もしかしたらだし〜結婚する気ないし」

いつもの愚痴が始まる。

その前に妊娠してるらへんで私の頭のキャパシティーは壊れていて…。

「もしできてたら…?」
「下ろすと思うよ?まだ高校生だし…」
「…おろさないで…」
「うんとは言えない。」

なんで…なんで。

「おろさないでよ!」
「キレんなよ。」

当たり前じゃない。
キレるよ普通は。

「中絶するくらいなら最初からSEXしなきゃいいじゃん。」
「仕方ないじゃん。」
「仕方ないとかよく言えたね。」
「俺もう小雪とはSEXしないって本人に言ったし。」
「そう言う問題なわけ?」
「ならお前ともしない。」
「別にいいよ。」

私はぐれて布団に潜り込み背を向けた。
しらない。
私の気持ちなんてわかってない。
どんなに達也のこと好きかなんて。
所詮わかってない。

「南。」

達也が後ろから手を伸ばしてきて胸を触る。
汚い。
汚いよ達也。
その手で河瀬先輩にも今までのセフレにも触れてきたんでしょ?
触らないで。
触るな。

「触んな。」

とっさに出たら言葉。

「南?」
「汚いから触らないで。」

私はその日からキスもセックスも拒んだ。

もしも。
もしも私が達也との子供を妊娠して…そしたら達也はなんて言うのかな?
「下ろせ」?
「お前一人で育てろ」?
「俺は責任をとるきない。」?
頭のなかで連呼されてそれが少しずつ苦しくなる。

なんで達也は下ろすなんて簡単に言えるの?

河瀬先輩にも言ったように私にもセックスをしないって言うの?

キスをしたくないって言ったら、冷めちゃうの?

達也答えてよ。

ねぇ。

達也。


「はぁはぁ」
私はあの日から2日間だけだけど達也に触れられると急に手を洗いたくなる。
寝ていても無意識に飛び上がって手を洗う。
怖いよ。

そして私は2週間前のあの日の出来事を思い出していた。