「 弥音…
今日出さないと
大好きな人のお嫁さんになれないわよ。
早くママを手伝って! 」


ママが階段下で叫んでいる。


お嫁さんになれない?
それって…
それはヤバイって!!


バタバタと階段をかけおりて
ママが待っているリビングへ



「 わぁー!
かわいい! 」



毎年見ている雛人形たち
私のために私のもとへ来てくれた雛人形たち



「 弥音。
雨水には
みんなにかわいいところ見せてあげなきゃ! 」



ママは
いろんなことを教えてくれる。
こうやってママとの時間があるから
私は少しずつ大人になっていくんだね。



「 ねぇ、ママ。
今年もママのお雛様も一緒に
飾ってくれるんだよね? 」



「 もちろん!
ママのですからね。
弥音のとなりに飾られてもらうね。 」



二組の雛人形たちは
時代の違いかな?
少し顔つきが違う…
けど、
ママのはママに似ているし、
私のは私に似ている。
不思議だね。



「 そうだ!ママ。
なんで雨水にお雛様飾るの? 」