バイトなんてしたことないけど、
私を癒してくれる海松さんのそばにいられたら。
田舎に帰りたい!って気持ちが少しずつ考えなくなっていた。


私は、
土曜と月曜にバイトをしている。


「 鳩羽さん、あがっていいよ! 」


倉庫にいる私に伝えてくれた海松さんの声。
でも、何か遠くで聞こえるような…




目をあけると知らない部屋だった。
でも安心できる、においに包まれていた。


「 うん、そう。
落ち着くまでいるから何かあったら電話して、
自宅にいるから…よろしく。 」


その声は海松さんだった。

自宅にいる?
自宅?

えっ!
海松さんの自宅?

部屋のドアが開いた。
近づいてくる気配。
ネタフリを続ける私。


「 春菫は、ちゃんと食べてなかったのかな?
バイト、ムリさせてたのかな?
ごめんなぁ。 」


頭をそっと触れた手のあたたかさに涙が流れた。


「 海松さん、ごめんなさい。
もう大丈夫だから心配かけて、ごめんなさい。 」


「 今日顔色悪かったから、早く帰そうと思ったんだ。
でも、す…鳩羽さんを送って行こうと思っていて。
その…
なんだぁ…
春菫が気になって仕方なくって…。 」


私は海松さんの手をつかまえて


「 私も海松さんのそばにいたいです。 」


「 オレかっこわりぃ!
えっと、
春菫、オレの名前は葉太。
だから…
えっと…
あの…
だから、二人きりの時は名前で呼んでくれ 」


真っ赤な顔の葉太さん。
さらに好きになりました。


私は、あの月曜に


「 いらっしゃいませ! 」

一言に
一目惚れ…ちがうな、
一声惚れをしちゃったんです。




end


2012/03/07