バレンタイン・キッス

「違います!友達!!同じバスケ部なのっ」
「え、でもめっちゃ睨んで…」
「あー!もうこんな時間!帰らなきゃ!!また明日ね黒崎くん!!川村いこっ!!」


その場にいるのが居た堪れなくて逃げるように黒崎くんと別れた。

川村の背中をさっさと歩けと言わんばかりの力でグイグイ押した。

数分無言で歩いた道のりはただただ重い空気。
気まずさマックス。


「…なにあいつ」
「クラスメイト。あんまり喋ったことなかったんだけど、人懐こい人だったね」

さっき撫でられたことがまた後から思い出して、熱が上がる。

ちょっとドキドキしちゃった。


「あいつ、うざ。」

川村が私に聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
なんて言ったか拾えなかった。

「なに?」
「なんでもねえよ」
「なんで怒ってるの?」
「怒ってない。あんまり隙見せてんなよ」