確かに言ったよ。 あたしを幸せにしろって。 だからって何でなにもかもすっ飛ばして婚姻届?! 混乱しているあたしをよそに、智幸はあたしの右手を握ったまま名前を完成させようとしてる。 落ち着け、美奈子! あたしの右手を握ってる智幸の手を左手で掴むけど、動きは止まらない。 そんなに書かせたいのかっ!? 意地になって焦るあまり、あたしは言ってしまった。 「いい加減にしてよ、浮気ヤロー!!」 ―――ピタリ。 さっきまでの抵抗が嘘のように智幸の手が止まった。