言った。
取り合えず言い終えた。
混乱と興奮で何が言いたいのか分かんなくなってきたけど。
初めて縋り付いた。
去っていく男に。
情けないくらいに心臓はバクバクしてて、意識してないと手も震えてしまう。
不覚にも零れそうになった涙をグッと耐えるあたり、どこか隅の方で冷静なあたしが「強がっちゃって。」って茶化してる。
勝負はついてないけど結果は見えてるようなもん。
1%以下も望みは薄い。
「・・・。」
「・・・。」
智幸から出る答えは分かってるのに、こうも焦らされると・・・。
「・・・。」
いやいや、ねぇ。
何か言ってくれてもいいんじゃない?!
えっ?えっ?えっ?
あたしの一人芝居?!
もしかして寝てる?!
おいおい、おっさん。
あたしの肩に顔を埋める智幸はピクリとも動かない。
普段言わない事言って恥ずかしいのに。
なになに?!放置ですか!
なんたる羞恥プレイ!!


