まだ頭が覚醒してないのかボ~とした虚ろな目をしてる。
普段ちゅーと半端な優柔不断なくせに、寝起きだけはすこぶる悪い。
「遅いし。」
「うひゃっ!」
智幸の顔の前で手をヒラヒラしてたら手首を引かれ、思ってもない行動に対応出来ず、反動のまま智幸の肩に突っ込んだ。
い、痛ひっ!
鼻だよ、鼻!鼻打ったよ。
あたしの苦痛を無視した智幸は、あたしの肩に顔を埋めた。
「来ないかと思った。」
付き合ってた頃よりも自信なさげで掠れた声は、あたしの心を震わせた。
このまま智幸の背中に腕を回しギュッと抱きしめたくなる。
あともうちょっと。
あと少しで触れそうな所で拳をギュッと握った。


