腹を据えて中に入ったはいいけど・・・オートロック!!
なんて悲しき事也。
我を忘れて家を飛び出したから携帯なんて持ってない。
残念な事にあるのはメモと鍵。
ロッカーの鍵が入っていたクリームでベトベトな袋は26番のロッカーの中に置いてきた。
「はぁーーー。」
ここまで頑張ったのにゴールまで辿り着けない自分が歯痒い。
ウロウロするしかなく、
「不審者じゃないですよ~。」
ちっちゃな声で誰も居ないエントランスで言ってみたり。
大丈夫!あたしスウェットにサンダルだし。
見ようによっちゃ、ここの住人だよ。
自分を励ましてると、―――コツコツコツ・・。
ヒールの音が聞こえた方を向くと、モリモリに巻いた金髪の姉ちゃんが中から出てきた。
「こんばんわー。」
怪しくないですよー。
実は鍵忘れちゃって困ってたんですよー。
的な雰囲気を醸し出しながらニッコリ挨拶をしてミニスカ姉ちゃんと入れ違いに中に入った。


