『おめでとう』の文字の後ろからヒョッコリ表れた透明な袋。
「何よ、これ。」
摘まんだ袋を目の高さまで上げると、番号が書かれたプレートが付いた鍵が中に入っていた。
家の鍵でも車の鍵でもない。
プレートには見覚えがあって、記憶の片隅でどこか覚えがあった。
あたしはシュミレーションしてみた。
朝起きて、コーヒー入れて。
家を出る時に鍵を閉めるけど、それとは違う。
智幸のキーケースに付いてる鍵とも違う。
駅まで歩いて行くけど、コンビニとかクリーニング屋とかには関係無いし。
家や車の鍵というより、ロッカーみたいな・・・。
「・・ロッカー。」
ふと出てきたのが駅のコインロッカー。
改札口に辿り着く迄にある、階段の手前に並んでるコインロッカー。
そう、このプレート。
見ようによっちゃー似てる気がする。


