……いつだったか。
『へへっ…これ妃崎っぽかったから買っちゃった』
そう言ってピンクのドレスを着たクマと、青のタキシードを着たクマのキーホルダーをあたしの目の前で振る。
そして、あたしの手に青の方のクマを置いた。
『普通逆でしょ』
『違うよー、その青いクマは俺だから!俺とずっと一緒でしょ☆』
「アホらし…」
失笑しながらそれをポケットに入れようとした時だった。
「何それー!」
「ここあ…」
あたしの手の平の上のクマを指しながら、笑って近づいてくるここあ。
可愛いいつもと変わらない笑顔がなぜか一瞬、憎く思えた。
そんな自分が嫌で、思わず目を伏せた。


