「妃崎!」
……あたし最近アイツのことばっか考えてる気がする。
夢にまで出てくんなよ、バカ。
来れるはずない。
家からそれほど遠くはないものの、あたし場所言ってないもん。
王子様は迎えに来てくれる?
――答えは否。
待ってたって誰も迎えに来てくれやしない。
自分で立ち上がれ。
どうして人間ってこう弱いんだろう。
人に頼らなきゃ生きてけないんだろう。
周りの人間に頼りっぱなしの人間は大っ嫌いだ。
見てて吐き気がする。
「妃崎…っ!寝るなって!凍えんぞ!!」
「……った!」
いきなり誰かに頬を叩かれて慌てて起きる。
拡散していた思考が一つに纏まっていく。
はっきりとした意識の中見えたのは……
「…こぅ…り……?」
そんなわけない。
夢だ、夢。
まだ寝ぼけてるんだよ。
でも何度頬を抓っても光梨はそこに居て。
「捜したんだぞ」
そう言って少し笑った。
見たかった笑顔。
花が咲くような。
似た境遇でも、光梨は黒じゃなく白だと思った。
あたしと逆の、光。
闇と光は交えない……


