あたしはその傷だらけの心を見られたくなくて、見せたくなくて。
心は醜くても外面は綺麗で居たいから。
泣くより、笑った。
哀しい顔をするより、得意顔で居た。
冷たい世間を見下す自分はもっと偉いんだって思えた。
そうやって16年間築いてきた強い自分は、光梨によって、いとも簡単に壊された。
あたしの閉じ込めた弱い部分をどんどん引きずり出した。
フタを取られたそれらは、止まることを知らないように流れ出した。
まるで、決壊したダムのように。
嵐が荒れ狂っても堪えてきた、堪え続けたダム。
強靭なダムはある人により壊された。
「…光梨…ぃ……」
痛いよ……
あたしは気付くと震える手で、光梨に電話をかけていた。
光梨は遊んでるかもしれない。
ケータイなんて見てないかもしれない。
それでも、助けに来てくれるって期待してる自分が居ることに少し驚いた。


