でも、
「…痛いよぉ……」
あたしはやっぱり弱くなっていて。
昔は耐えられた傷もじくじくと泣き出した。
…いや、間違ってるかも。
もともとあたしは弱かった。
でも、頼る相手が、同じ境遇の人が居なかったからフタをして、閉じ込めた。
過去を、涙を、弱い自分を。
声が枯れるくらい呼んだって、
涙が枯れるくらい泣いたって、
誰も慰めてくれなかった。
誰も傍に居てくれなかった。
だったら、
自分で立つしかないじゃない。
自分で自分を守るしか出来ないじゃない。
皆はすぐ傍に誰かが居て。
わがままを言えば叱られて
テストが悪ければ怒られて
口答えすれば殴られたかもしれない。
でもそれってすっごく幸せなことなんだよ?
あたしには…それがなかった。
あたしだって叱られたかった。怒られたかった。
だってそれって気にかけてもらえてるってことでしょ?
無意味に殴るのと、愛の鞭は…
同じ痛みでも、心の傷は違ってるの知ってた?
親から無意味に殴られるの、どれだけ痛いか知ってる?
たった一つの打ち身でも、心が負う傷の深さはすごく、すごく
…深いんだよ。


