何を忘れているのかも分からない。
ただ、ただ、…痛い。
心が…。痛い。
体の傷より、沸き上がる痛みより、心が泣いていた。
悲しくて…悔しくて……
心が叫んでる。
助けて…、って。
堪えて堪えて堪えて。
そうしたらきっと終わる。
明けない夜は、ない。
明日になったらきっと笑えるから。
大丈夫。
あたしは弱い人間じゃない。
勝ち組だった。
□■□■□
「あんたなんか居なくなれば良いのに!」
母親は散々蹴った後、甲高い声であたしに吐き捨てると
ヒールを盛大に響かせながら、夜の街へと消えて行った。
本当だよ。
あたしなんか居なくなったら良い。
そう、思ってた。
でも光梨が救ってくれた。
…あたしを変えてくれた。
彼は泣いていた。
あたしのために泣いてくれた。
同情でも。
見捨てるわけでもなく。
『死にたい…なんて簡単に言うなよ…』


