「ふざけんなよ!」
「…う゛…っ」
あたしのお腹を蹴りあげる。
お腹の中心から熱を放った塊が込み上げるような感覚。
痛みで顔が歪む。
こめかみに異様な程のシワが寄った。
「うざいんだよ!」
「……っ…」
ピンヒールの先で背中をきりきりとえぐってくる。
痛くて。
痛くて。
余りの痛みに背中を丸める。
胎児のように。
遠い昔のように。
そうだった。
最近は関わらなかったから忘れてたけど、…そうだった。
あの人は…
――精神病だった。
半年に一度程こうやって母親はキレる。
ヒステリックに暴れる。
たまたまあたしが居たから。
だから蹴った。
それ以外に意味なんて存在しない。
…何で忘れてたんだろう?
最近楽しすぎて、色んなことを忘れてる気がする。
…大切なこともたくさん…、……


