最近、母親とはすれ違ってばかりだ。
光梨が居ることも、多分知ってるんだろうけど何も触れて来ない。
よく薬を飲んでる姿を見かけるからしんどいんじゃないかな。
何の持病かは忘れたけど。
1番最近喋ったのは10日ほど前だった気がする。
『しんどいの?』
『あんたに関係無いでしょ』
『でも……』
『良いからどっか行けよ!』
“目障り”
そう小さな声で母親が漏らしていたのを、あたしは聞いてしまった。
出来れば聞こえないほうが良かった…と心底思った。
あの日はショックで学校休んだっけ。
よくあることなのに、傷ついてる自分自身がウザかった。
母親は昔大手の企業に勤めていたらしい。
結構腕も悪くなかったとか。
でもあたしが出来たせいで、夫に捨てられ、子育てのために会社を辞めたんだって。
いつだったか言われたことがある。
『あんたなんか産まなきゃ良かった』
…後悔するなら産むなよ。
…下ろして欲しかった。
こんな必要のない子なんて…
あたしだって好きであんたの子供に産まれてきたわけじゃない。
“子供は親を選べない”
よく言ったものだ。
あんたの子供になんかなりたくなかったよ。


