二人は同じ家に住んでいても、会話の一つもない。
母親は家に男を連れ込むようになり、
光梨はつるんでる奴らが頻繁に家に出入りするようになった。
その頃の母親の口癖は
『死にたい』
だった。
狂ったように呟いていた。
そんな生活が二年ほど続いた、光梨が高校に入る前の春休み。
その日も友達と遊んで夜中に帰ったところ、部屋の電気が付いていたらしい。
不思議に思って母親の寝室を覗くも、誰の姿も見当たらない。
首を傾げながら部屋を出ようとすると、ヒヤッとした風が頬を掠めた。
振り返ると部屋で1番大きな窓が空いていた。
閉じようと近付いたとき、ふとあらぬ想像が頭を過ぎった。
『まさか…』
確認のため下を覗くと、
母親の血だらけの遺体があった。


