――遠い昔。
光梨家は隣のあたしん家なんかと比べものにならないほど、幸せそうだった。
両親はすごく仲良しで、よく三人で出掛けたりしていた。
羨ましくて、同時に妬ましかった。
それくらい幸せだった家庭に亀裂が入ったのは、ちょうどあたしん家でも事件が起こった頃らしい。
父親のリストラ。
そして…父親は死んだ。
何も言わずに働いていた会社の屋上から飛び降りた。
それに母親はおかしくなり、毎日毎日飲んだくれて、ボロボロになっていった。
光梨も二人の変貌に耐え切れず、現実逃避のために荒れた。
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