光梨の目を見ないまま、ぼそっと尋ねる。
「ねぇ」
「ん?」
「何であんな冗談したの?」
「冗談じゃ…」
そこで口を噤む光梨。
あたしが光梨の方に視線を向けると、気まずそうに頬を掻いて笑っていた。
「黒のヒモパンがエロかったから」
「はあっ!?」
何で知ってんの!?コイツ!
「だってお姫様抱っこしたら見えたんだもーん!」
こっ…こいつ…
「重かったなあ…」
「うるっさいな!」
「ウソウソ!超軽かったって!」
ニコニコ笑う光梨に怒る気も失せて来る。
……お姫様抱っこ…してもらったんだ、あたしも。
ずっと付いててくれてたんだもんね…
起きたらしっかり手を握ってくれてたし…
考えるとにやけてきそうな顔を、慌てて手で隠した。
「…ありがと」
「うわっ…!素直すぎて明日あたり雷落ちるかも」
「あんたねぇ!」
あたしが殴る真似をすると、笑いながら逃げる光梨。
昔を、お兄ちゃんの居た頃を思い出したけれど、不思議と悲しくなかった。


