「いやぁあぁぁあぁあぁあっ」
「……っ!」
「いやぁ…やぁ…」
「妃崎!!」
懐かしい…香り……
お兄ちゃんの…匂い……
あたしは誰かに抱きしめられている。
優しく、優しく、宥めるように抱きしめられている。
この人は…
「お兄…ちゃぁ…ん…」
「妃崎…」
…………じゃない。
バッと一瞬にして腕で押し返した。
「…ごめん」
「……ぃ…、いや…」
別に光梨に抱きしめられたことが嫌なわけじゃない。
光梨の腕の中はすごく安心するのは確か。
でも、他の子を触った手で抱きしめられたくない…って思う自分が居るのも確か。
さっきまで紗枝って子に触れてた手で。
心の中に渦巻くこの黒い気持ちは、…何?
腹立たしくて
悲しくて
苦しくて
胸が張り裂けそう。


