「じゃあ、先行っとくね?」
ここあは授業開始の予鈴チャイムが鳴ったため、教室に帰って行った。
先生にポツポツと現状を説明していると、勢いよく保健室の扉が開いた。
「先生〜…っ!!」
後ろから威勢の良い声が聞こえる。
この声は…
「まぁ光梨君」
「あれ?その後ろ姿は…、妃崎?」
……やっぱり。
その声の方を向くと…
光梨が女の子をお姫様抱っこしていた。
見ると女の子の膝には傷があり、血が滲んでいる。
あたしも、…同じなのに。
「光梨君、まるで王子様ね」
ふふっ…笑う先生に光梨は、紗枝のロミオは俺だけです!…と笑う。
その姿を直視出来なくて、目を逸らした。
紗枝…か。
あたしは妃崎なのに。
あたしはアイツのジュリエットにはきっと、…なれない。
光梨はこういう奴で、
遊び人のお調子者で、
こんな冗談軽く言えて、
それなのに何故か。
傷がジリジリと痛んだ。


