「つけられて…っ逃げて…」
「もう大丈夫」
全然話せてないのに、まるで全部分かったかのように。
光梨が大丈夫…って言ってくれたら大丈夫な気がした。
「気づかなくてごめんな」
そう言って、ふわっと柔らかく抱きしめてくれる。
優しく、壊れ物を扱うように、触れてくる腕の中に、そこはかとない安心感を感じた。
「ごめん…」
「ん?」
「……ごめんね」
「気にすんな」
…巻き込んで、ごめんなさい。
…心配かけて、ごめんなさい。
何がかを聞かないその優しさにまた涙が出そうになって、下唇を噛み締めた。
「ありがとう」
…慰めてくれて、ありがとう。
その時ポケットに入っているケータイが震え出す。
光梨に断ってケータイを開くと、やっぱりあのアドレスからで。
あーあ。
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後ちょっとだったんだけどな。
君も逃げなくても良いじゃん。
未来の婚約者なんだからさ☆
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本気で寒気を感じた。
さっき見えたアイツはやっぱりストーカーだったんだと、確信したから。
黒い影は、もう、すぐそこまで迫って来ていた。


