「な…何よ……」
あたしは今電車の中に居る。
そしてケータイ画面を見て固まってしまった。
小さな液晶画面にビッシリと並べられた文字に、猛烈な寒気を感じた。
あいつ誰?
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あのタラシ男君の何なの?
君に合うのは僕しか居ないのに。
僕以外と喋るなんて君も度胸あるよね。
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これはちょうど光梨と偶然出会ったくらいの時間に来ていたもの。
ふざけんなよ。
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どういうこと!?同居してるとかまじありえない。
僕に報告無しで男と住んでるとかふざけんなよ。
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これはここあとお茶していたころ。
どんどん口調が厳しくなっていくメールに動揺を隠せない。
このほかにも
買い物をしている時
あたしが着替えた時
………たくさんのメールが来ていた。
全てあたしに付いていないと分からないような、細かいことばかりを突いてくる。
恐い…恐い……
何これ…………
不安に駆られながらも、あたしの降りる駅を伝えるアナウンスが車内に響き渡る。
徐々にスピードを緩めた電車がホームに滑り込む。
その時。
誰かが笑ったような声がした気がするが、キーーッ…という金属が擦れ合う音に掻き消されて、よく分からない。
車内を見渡しても、人が多く、この中にストーカーが居るのかさえ定かでない。
表しようのない恐怖を感じながら、夜道を家に向かって一歩踏み出した。


