「……そんなことが…」
あたしが全てを話し終えると、ここあは軽蔑せずに、逆に心配してくれた。
これを世では同情というのだろうけど。
もう聞き慣れた同情に怒りも悲しみも湧かなくなった。
こういう考えもひねくれてるのかなあ…
素直に喜べないあたし自身にそっと溜息をつく。
すると、ここあが立ち上がって反対側まで駆けてきて耳元に口を寄せた。
ちゃんと学習したんだね、ここあ。
「もう、しちゃった?」
「は?」
聞こえなかったわけでは無い。
ましてや耳元で言われたし。
「だーかーらー…」
「いや、聞こえたから」
聞こえたことは聞こえたけど…
「あたしから襲ったこととかないよ?」
「いや…そうじゃなくて…」
ここあはわざと聞こえるように大きなため息をつく。
「あたしから誘ったこともないよ?」
「いや、楓君が堪えられなくなるかと…」
そんなそぶり一回も見たことないなあ。
あたしまず、女に見られてるのかな。


