そのあと、楓が薬指にはめてくれたダイヤの指輪はすごく綺麗で


思わず泣いてしまったあたしの頭を撫でた大きな手はすごく安心するものだった。


ずっと欲しかったこの温かい手が、彼が、今隣に居るのが不思議で嬉しくて、また泣きたくなる。




ケーキ入刀も、パティシエになったサキがせっかく作ってくれたのに


嬉しすぎて、正直なところ味が分からなかった。






妃崎 亜里沙


25歳




25回目の誕生日。


25回目の6/27。


梅雨が続く中、たった一日だけ晴れ渡る青空が見えた日。


きっと今夜はあたしの一番星が近くに見える。




今日は、あたしの人生の中で一番に幸せな日だっただろう。