「二人は何度離れてもいつだってお互いを想いつづけていました。
運命に翻弄されながらも、もう一度彼等が惹かれあえたのは、運命以外のなにものでもないと思います。
僕こう見えて現実主義なんですよ。
運命なんてロマンチックなこと、僕は二人を見て初めて知りました。
だから、彼等はきっと、絶対、幸せになってくれると思います。
彼等の幸福を、誰よりも近くで見守ってきた僕が一番に願います。
これで、祝辞とさせて頂きたく存じます。
二人のキューピッド 加原那智」
皆の温かい笑い声と、大きな拍手が教会にこだまする。
あたし達を祝福してくれているみたい。
純白のドレスに見を包み、会場を見渡すと見慣れた顔がズラリと並ぶ。
ここあ、千夏、エリ、サキ。
スピーチを引き受けてくれた那智君に、
高校時代の友人、……岡安先輩も。
バイト仲間に、勇躍君。……紗耶香さんも紫のドレスに見を包み、あたし達を祝福してくれている。
あのあと、本当に紗耶香さんのイケメン狩りは無くなったそう。
颯が何をしたのかは怖くて聞いていないけれど。
目が合うとにこりと綺麗な微笑みを浮かべてくれる颯。
一番前で人一倍大きな拍手を送ってくれた。