何も言えなかった。




ただ呆然と見つめていたらふと彼と目があって、大きな瞳がさらに大きくなって。


あの時と、同じ反応に少し、ほんの少し、頬が緩んだ。




「さぁさっ、席着いてー!
ってことでごゆっくり〜♪」


那智君はまるですべて知っていたかのように、楓をあたしの前に座らせると、他の子を引き連れて席を立つ。


「ぇっ、那智く…」

「(頑張って)」


口だけでそう言って可愛くウインクした彼はそのままあたし達に背を向けた。




え?


どういうこと?


頭がついていかないまま、二人取り残されたあたし達の間に流れるのはやっぱり気まずい沈黙。




・・・・・。




「あ、あはは………元気、してた?」

「あぁ、ぅん…まぁ」

「そう、良かった」







か、会話が…。