――カランカラン…


軽い音を立てながら開いた店のドア。


その時、ドアの方を向いて座っていたここあと勇躍君の目が大きく見開かれた。


「どうし…」

「亜里沙、かえっかえっかえっ!!」


どうしたの?…とあたしが聞くより早くここあが後ろを指差して口をパクパクさせ出した。


「…かえっ?」


ふと釣られて後ろを見ると、






「え?」






この世で一番憎くて


この世で一番大好きな人が居た。



一瞬。時が止まったみたいに感じて、自分の瞳には彼以外のものが何も映っていなくて。


なんだか不思議な気分。

夢心地ってこういうことを言うのかな。




会いたくなくて


会いたくて仕方がなくて


もう会えないと思ってた。












ねぇ、楓。