「あはは、要らないものは排除に限るよね」
「ハイジョ…?」
一瞬、自分の周りの音だけ消えたような気がする。
無音の極地に立たされた俺は考える能力を失ったのかもしれない。
ハイジョ?誰が?誰を?
え?ハイジョ…って何?
消されるの?
…――亜里沙が。
「何…言ってんの?冗談きついよ?紗耶香」
「……あいつ、妃崎亜里沙を消せば、楓はあたしを見てくれる?」
「…な…に、バカなこと言ってんだよ」
俺の言葉はまるで聞こえなかったかのように、自分で囁いているだけかのように、小さな声で言葉を零す。
大きな瞳が俺を捕らえて離さない。
お願いだから、その濁った色に俺を映さないでくれ。
おかしくなりそうなんだ。


