「ねぇ…楓。昨日は何してたの?ずっと電話してたのに出てくれなかったじゃない」

「………」

「ねぇってば?」


紗耶香が身を乗り出してこっちに乗り出して来る。




「……なぁ」


なぜかその後付き纏われて、どういう風の吹き回しか名前を呼び合う仲になった。


そして、ケータイ番号を教えればストーカーじみた行動が目立つようになる。


毎日毎日、何してるの?電話してもいい?…って。


最初は女友達の一人だと思って、普通に返してただけだった。


だけど、どんどんエスカレートしていくその行動に俺はいつしか罪悪感を抱くようになる。

…もちろん、亜里沙に対して。




「なぁに?」


向かい合う喫茶店の席から俺の顔を覗き込むその顔は確かに整っているだろう。


でも今俺がその顔を見て思うのは、後悔と罪悪感しか無い。






「俺、お前の彼氏じゃないんだからさ…、束縛とかマジうぜぇんだけど」