「光梨楓くん…だよね?」
「んぁ?…まぁ、そーだけど」
編入したてで何も分からない時のこと。
カフェテリアで那智と二人、昼食をとっている時にいきなり話かけてきた美人なオンナ。
最初の印象はそれだけだった。
「かっ…楓!!紗耶香サマと知り合いなのかよ、お前!」
「さやか…サマ?」
ふざけてるのか、コイツ?
でも那智の焦る顔は真剣そのものだったから、あー、この女有名なんだな…って思った。
「ふふ…仲、良いのね」
「あー…はい、まぁ…そっすね」
何でタメ語なんだろう、この紗耶香ってやつ。
年上なのかな?
その場はそのまま紗耶香はどこかに歩いていったため、うやむやに終わった。
那智にいろいろ詮索されたが、俺も何で話し掛けられたのかも分からなかったから、何も答えることが出来なかった。
これで終わりなはずだった。
学園のアイドルと喋れた、ラッキー!
…それで終われるはずだったのに。


