『あたし、那智君と付き合ってるから』
『ぇ?』
『言えて清々したわー。あんたが浮気するよりずっと前から付き合ってたの』
『……那智、本当か?』
『……』
…これが、君の精一杯の強がりだったってこと。
君は嘘つくとき絶対に目を合わせず、瞬きが増える。
その癖、今も治ってないのかなぁ?
那智と付き合ってる…、そう言った君の瞳の奥に光りが宿っていたのも、俺、知ってんだ。
俺が気付いてるのを那智も気付いていたから俺達の友情は崩れなかった。
でも、本当に君は全部が嘘だったのかな?
そう信じても、離れた今ならそう願っても…良いかな?
俺と居て少しでも楽しかったのなら、俺はそれだけで幸せで。
幸せに出来なくてごめん。
約束守れなくてごめんな。
何年にも渡る盛大な約束を守れなかった俺は
ひどくちっぽけで、頼りなくて。
こんな俺に呆れて、嘲笑って、愚痴ってくれたらいい。
そして俺のことなんて忘れて、“本当に”幸せにしてくれる奴の隣で笑って?
俺はそれだけで幸せだから――…


