街灯の少ない暗い夜道を歩いている時だった。
「ちょっとトイレ行かせてもらっても良いですか?」
勇躍くんがそう言ってコンビニの中に入っていく。
一人になったあたしは静かにフェンスにもたれ掛かった。
――カシャン…
――ガサガサッ
「…?」
フェンスが立てた音に混じって隣の植木がガサガサと鳴る。
不思議に思ってその辺りを凝視するも、何かが動く気配はない。
諦めて前を向くとあたしのちょうど真上に北極星が見えた。
こぐま座のポラリス。
やっぱりどこか寂しげにこの世界を照らしていた。
その時。
真横に人の気配を感じて、飛びのく。
隣から感じるのは、確実な人の気配と溢れ出る殺気。
背中を冷や汗が一筋流れた。
恐る恐るチラッと横目で視界に入れると、
「─────!?」
暑い暑い夏がもうすぐ終わる。
そんな時期の、熱帯夜でのこと。


