「…どうしたんすか!?」
慌ててあたしの肩を掴む少し焼けた腕。
彼に見られたのが恥ずかしくて急いで涙を拭った。
「何でも…、ないよ…」
知り合いに会うのが何より嫌だったのに。
彼の同情の視線から逃げるように目を逸らす。
「何であなたはそうやっていつも、一人で抱え込もうとするんですか…」
彼は自分のことのように悲愴に顔を歪めてあたしを見つめた。
「前から元気なくて聞きたかったんですけど、聞いちゃいけない気がして…」
でも今日は話してもらいます…と凛とした表情で言われると、従わざるを得なくなる。
あたしは黙って前を歩く彼の後に続いた。
「最近バイトでもかっちこちの笑顔しか見せないし。ばったり会ったかと思えば泣きながら走ってるし。
一体何があったんですか?」
言っても…良いのかな?
もう一人で抱え込まなくても大丈夫?
「あのね…長くなるけど……」
「亜里沙さんの話ならいくらでも聞いてあげます」
勇躍くん……
本当にありがとう。


